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Engine Lab

技術解説 遊び方

技術解説: Engine Lab のシミュレーション

4ストロークのガソリンエンジン(1気筒、排気量 0.5 L、ボア×ストローク 86×86 mm)を、クランク角 0.5° 刻みで計算する「1ゾーン・0次元モデル」の解説です。

1. 幾何学とクランク角

クランク角は、燃焼上死点(TDC)を 0°、吸気の開始を −360°、圧縮前の下死点(BDC)を −180°、膨張の終わりのBDCを +180° とします。クランク半径 a に対するコンロッド長の比を R = 150/43 ≈ 3.5 として、体積は次の式です。

V(θ) = Vc [ 1 + (r−1)/2 · ( R + 1 − cos θ − √(R² − sin² θ) ) ] Vc = Vd /(r−1) (すきま容積) r = 圧縮比

2. 閉じたサイクル(吸気弁閉 → 排気弁開)

筒内のガスを理想気体、1つの均一な温度 T とみなし、熱力学第1法則を積分します。

m c_v(T) dT = − p dV + dQ燃焼 − dQ壁 p = m R T / V c_v(T) = 650 + 0.22 T [J/(kg·K)]

吸気弁を閉じた時点の圧力・温度は、吸気圧 pint = スロットル × 過給圧 × 1 bar − 0.04 bar、吸気温度 330 K + 45 K × (過給圧 − 1)(インタークーラー付き)から決めます。閉じ込められる質量は、吸気弁を閉じる時の体積 V(θivc) で決まります。遅く閉じるほど、押し戻される分だけ質量が減ります。

3. 燃焼(ヴィーベ関数)

xb(θ) = 1 − exp[ −6.9 ((θ − θ₀)/Δθ)³ ] θ₀ = 点火 + 着火遅れ(約4°) Qin = m燃料 · LHV · ηc LHV = 44 MJ/kg, 理論空燃比 14.7 Δθ = 45° × (1 + 1.6 max(0, λ − 1)) … 薄いほど燃焼が遅い

燃焼効率 ηc は、濃い混合気(λ<1)では CO・HC のため低下し、極端に薄い混合気(λ>1.15)では不完全燃焼で低下します。熱の入り方は xb の増分に比例します。

4. 壁面への熱損失

ウォシュニ(Woschni)型の熱伝達率を使います。

h = 3.26 · B−0.2 · p0.8 · T−0.55 · w0.8 (p [kPa], B [m], w [m/s]) w = 2.28 · (平均ピストン速度) (燃焼中は少し増加) dQ壁 = k · h · A(θ) · (T − T壁) · dt T壁 = 450 K, k = 2.3 (実機の損失率に合わせた補正)

面積 A は、シリンダーヘッド+ピストン頂面+露出したライナーです。圧縮比が高いほど、燃焼室の「表面積÷体積」が悪化するため、効率の伸びが鈍ります。

5. ノッキング(リヴィングッド–ウー積分)

未燃ガス(エンドガス)が、火炎が到達する前に自己着火するとノッキングです。着火遅れ τ(p, T) を使い、次の積分が 1 に達したら自己着火とみなします。

∫ dt / τ(p, Tu) ≥ 1 (燃焼質量割合 95% に達するまで) τ = 17.68 (ON/100)3.402 · p−1.7 · exp(3800/Tu) [ms, p は atm](ドゥオ–エイゼ式) Tu = Tivc (p/pivc)0.26 … 未燃ガスを断熱圧縮したときの温度

式に 4.24 倍の補正をかけて、「オクタン価 91 で圧縮比 約11 あたりからノックする」ように調整しています。画面の「ノッキング度」は、この積分値です。オクタン価が高いほど τ が長くなり、ノックしにくくなります。

6. ガス交換(吸気・排気)

バルブ流れそのものは解かず、圧力の「レベル」で簡易的に扱います。

7. 出力の計算

W正味(図示) = ∮ p dV の閉じた部分 + 排気 + 吸気 IMEP = W図示/Vd BMEP = IMEP − FMEP FMEP = 0.7 + 0.15 n + 0.035 n² [bar] (n = 回転数/1000) η = W正味(軸) / (m燃料 · LHV) トルク = BMEP · Vd / (4π) 出力 = トルク × 角速度

「燃料エネルギーの行方」の棒は、燃料の発熱量が、①軸の仕事 ②摩擦 ③ポンプ損失 ④壁面への熱損失 ⑤排気に残る熱 ⑥不完全燃焼で出た分 に分かれる様子で、合計が必ず 100% になるように計算しています。

8. 理想オットーサイクルとの違い

ηオットー = 1 − r1−γ (r = 10, γ = 1.4 のとき 60%)

実際の正味効率が 35% 程度なのは、①高温のガスでは比熱比が下がる(γ ≈ 1.25〜1.3)②壁への熱損失 ③有限の燃焼時間(上死点で一瞬では燃えない)④ブローダウンとポンプ損失 ⑤摩擦、が効くからです。ミラーサイクルは、吸気弁を遅く閉じて有効圧縮比(吸気弁閉時の体積/すきま容積)を下げつつ、膨張比は幾何学的圧縮比のままにする考え方で、ノッキングを避けながら膨張比を稼ぎます。過給は、減った吸入空気を補います。

9. 限界と注意

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